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企業はもとより、あらゆる組織は、ほとんど例外なく施設・設備(業務用固定資産、不動産)なくしては経営不可能で、ある。 それはオフィスであり、店舗であり、倉庫であり、工場であるかもしれないし、公共的な事業では、病院、学校、駅、空港などの諸施設であるかもしれない。
行政組織では、庁舎、公会堂、図書館その他さまざまな種類の施設であろう。 これらの施設・設備は、組織の目的達成、運営にとって、不可欠な要素であることは言うまでもないし、これらの施設・設備の状態がどのようなものであるかは、経営の成績にきわめて大きく影響することは明らかである。
ところが、まことに驚くべきことに、わが国の経営者、組織の責任者の多くは、白組織の施設・設備についての関心が極度に低く、施設・設備についての情報もほとんど持たず積極的に管理するという意思も見られない例が少なくない。 これらの人々の現在の関心事は人件費削減のための人事リストラ、収入収益減に対応しての資金繰りに向けられ、施設・設備(以下ファシリティーズという)の問題は意識の外でしかない。
欧米の場合と異なってわが国の経営者などがこのような状況にある理由については、過去の土地神話などに見られるような不動産に対する特異な考え方(利用価値よりも保有価値重点)をはじめ、さまざまなことが考えられるが、そのことは措くとして、このような状況は、組織の経営にとって実に重大な欠陥となり、結果の悪影響は計り知れないものがある。 ファシリティーズを保有することは、尼大な費用の発生を意昧し、それは一般的に人件費に次ぐ第2第3の経費となっており、しかもその多くは固定費的性格であるから、これらのコントロールに積極的に取り組まねばならないことは明らかである。
ファシリティーズの取得、保有、利用に伴って必然的に発生する費用、ファシリテイコストを正確に把握することは、施設・設備管理(ファシリティマネジメント)の基本であり、経営者の基本的責務であるにもかかわらずわが国ではそれがほとんどなされていない。 本書は、以上のようなわが国経営の大問題に正面から取り組んだ重要な研究成果を内容とするきわめて有用な著書である。
ところで、わが国は目下社会制度の一部に未曽有の激動の波を受けて、大変革を迫られ、大部分の組織の経営者、管理者は不安と戸惑いに悩みつつあるといえる。 会計ビッグバンといわれる会計制度の変革問題である。
連結決算、時価会計、税効果会計、減損会計、キャッシュ・フローなどなど、すべての組織が永年行ってきた会計の考え方方法とは異なる馴染みのない理論と方法を急速に取り入れることが求められている。 これらの中には、ファシリティーズにかかるものがあり特に減損会計はその例である。

この減損会計についても、実務家の立場に立ってきわめて明確に解説を行っており、その点からも時宜を得た著書となっている。 以上要するに、本書は組織における最も重要な問題のひとつである施設・設備の総合的な管理の手段としてのファシリティマネジメントの活用という立場に立ち、ファシリティマネジメントの各種の手段の中心となるファシリテイコストの把握について、新会計方式である減損会計の知識に関連させて、幅広く解説するとともに、新しく開発したファシリテイコスト簡易診断法「ファシリティドクター21?」を紹介しており、すべての組織の経営者、管理者にとって、きわめて有用な参考書になっている。
わかりやすい読み方、利用法かもしれない。 ファシリティーズを、その代表としてのオフィス中心に解説しているが本書の内容は、工場、店舗、学校、病院、官公施設などすべてのファシリティーズに適用できるものである。
わが国の大部分の経営者管理者が本書から重要な知識を学びとることを切に望むとともに、さらに本書の依って立つ基本であるファシリティマネジメントについて改めて注目し研究されんことを切望する。 ファシリティとは何なのでしょうか。
ファシリティについての定義がありますのでそれを引用します。 ファシリティ・マネジメントにおけるファシリティとは「企業、団体など組織体が事業活動を展開するために自ら使用する施設(土地・建物・各種設備)および利用する人の環境(執務空間・居住空間等)」を包含していうとあります。
一方、英語のFacili上yを辞書で、調べてみると、大抵の辞書には「施設、設備」とあります(ただしFacili上iesと複数形で、用いられます)。 この2つの解釈はどこが違うのでしょうか?学校で英語の授業で覚えたFacili上yは、辞書で調べた解釈のようなものですが、ファシリティ・マネジメントで説明します。
使うファシリティは、単に物理的な施設だけを指すのではなく、その施設を利用する利用者の視点から、物理的な施設に付随するサービスや音・光・空気(温湿度、粉塵量、風量)・香りといった人間の五感に感じる環境要素を含んだ総称を意味し、これらすべてをコントロールしていくことがファシリティ・マネジメントであるとされています。 このように幅広く解釈されているためファシリティ・マネジメントを漢字で表現することは困難です。
ファシリティ・マネジメントのマネジメントの部分も「管理」と訳すのではなく、「経営」としてのとらえかたをするので、「施設管理」と表現できないのです。 ただし、減損会計の説明は「ファシリティ」のうち、固定資産としての物理的施設・設備等の意昧に着目しますので本書では固定資産とファシリティを併記しながら進めることにします。
ファシリティの機能を一定水準に維持するための費用および施設の保有・使用にともなう費用のことで、次の3つの小分類に分けられます。 ファシリティの所有あるいは使用にともなう費用で、該当する科目として、賃借料、租税公課、保険料があります。

実際の支出は伴わないが計算上考慮、しなければならない費用のことで、該当する科目としては減価償却費(1)、減価償却費(2)、資本コストがあります。 ファシリティの機能を一定水準に維持するための費用で、該当する科目としては維持費、環境整備費があります。
ファシリティの機能を一定水準に活用するために発生する費用のことで、該当する科目としては水道光熱費、ファシリティ運用費、セキュリティ費、業務支援費、生活支援費、序章ファシリテイコストとは家具什器、パーキング費があります。 ファシリティの総合的な管理をするための費用のことで、該当する科目としては統括管理費があります。
上記の大小分類に沿って設定されている16科目の内容は以下のようになります。 賃借料:支払地代、支払家賃、共益費、仲介料、ファシリティ・リース料等が該当します。
企業等が事業の用に供するため、土地・建物等を賃借することによって発生する地代・家賃をいい、機器類のレンタル・リース代は含みません。 租税公課:固定資産税、都市計画税、事業所税、特別土地保有税、不動産取得税、登録免許税、ファシリティに係る印紙税等、ファシリティに関する各種の税金が該当します。
保険料:火災保険、動産総合保険、損害賠償責任保険等のファシリティに関する保険料が該当します。 減価償却費(1):建物、建物付属設備、構築物、器具・備品等、有形固定資産の減価償却費をさします。

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